ビタミンB12:血液・神経系を健康に保つ

【ビタミンB12とは】

ビタミンB12は水に溶ける水溶性ビタミンの1種です。食品中のビタミンB12は、たんぱく質と結合しています。食品を食べて胃を通ることによりペプシンの効果で遊離します。一般的な成人の平均的ビタミンB12貯蔵量は2~3mgで、1日当たり体内ビタミンB12貯蔵量の0.1から0.2%が損失すると言われています。日本人の主なビタミンB12の補給源は貝類、魚介類、肉類からといわれています。含まれる食材が偏っているため、菜食主義の場合、不足してしまう場合があります。菜食主義者の方は不足してしまわないよう十分に注意してください。また、サプリメント等による摂取においても、特殊な吸収機構を有し 、体内への吸収量が厳密に調節されているため、健康障害の報告はないとされています。ビタミンB12を過剰摂取してしまった場合、過剰分は体に吸収されず特に健康障害を起こしません。

【ビタミンB12が欠乏すると】

欠乏すると、巨赤芽球性貧血、脊髄及び脳の白質障害、末梢神経障害が起こると言われています。

【摂取量目安】

・成人(推定平均必要量、推奨量)

ビタミンB12の必要量は、悪性貧血患者に様々な量のビタミンB12を筋肉内注射し、血液学的性状(平均赤血球容積が101fL未満)及び血清ビタミンB12濃度(100pmol/L以上)を適正に維持するために必要な量を基にして算定されました。実験では7人の悪性貧血患者を対象として筋肉内へのビタミンB12投与量を0.5〜4.0µg/日まで変化させ、1.4µg/日で半数の患者の平均赤血球容積が改善されました。これらの研究結果から、1.5µg/日程度がビタミンB12の必要量と考えられています。悪性貧血患者では内因子を介したビタミンB12の腸管吸収機構が機能できないので、胆汁中に排泄されたビタミンB12を再吸収することができません。よって、その損失量(悪性貧血患者の胆汁中のビタミンB12排泄量:0.5µg/日)を差し引くことで、正常な腸管吸収能力を有する健康な成人における必要量が得られ、1.0µg/日となります。この値に、吸収率(50%)を考慮し、推定平均必要量を2.0µg/日と算定しました。推奨量は、推定平均必要量に推奨量算定係数 1.2を乗じ、2.4µg/日とされました。血清ビタミンB12濃度は男性に比べて女性で高いことが報告されていますが、その詳細は明確になっていないこともあり、男女差は考慮されていません。

・高齢者(推定平均必要量、推奨量)

高齢者は萎縮性胃炎などで胃酸分泌の低い者が多く 、食品中に含まれるたんぱく質と結合したビタミンB12の吸収率が減少しています。しかし、高齢者のビタミンB12の吸収率に関するデータがないことから、高齢者でも推定平均必要量及び推奨量は、成人(18〜64歳)と同じ値とされています。

・小児(推定平均必要量、推奨量)

小児については、成人(18〜29歳)の値を基に、体重比の0.75乗を用いて推定した体表面積比と、成長因子を考慮した次式(対象年齢区分の参照体重/18〜29歳の参照体重)0.75×(1+成長因子)を用いて算定されています。

・妊婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)

胎児の肝臓中のビタミンB12量から推定して、胎児は平均0.1〜0.2µg/日のビタミンB12を蓄積します。そこで、妊婦に対する付加量として、中間値の0.15 µg/日を採用し、吸収率(50%)を考慮して、0.3µg/日を推定平均必要量の付加量としました。推奨量の付加量は、推定平均必要量の付加量に推奨量算定係数1.2を乗じると0.36µg/日となり、丸め処理を行って0.4µg/日とされています。

・授乳婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)

授乳婦の推定平均必要量の付加量は、母乳中の濃度(0.45µg/L)に泌乳量(0.78L/日)を乗じ、吸収率(50%)を考慮して算出(0.45µg/L×0.78L/日÷0.5)すると0.702µg/日となり、丸め処理を行って0.7µg/日とされました。推奨量の付加量は、推定平均必要量の付加量に推奨量算定係数1.2を乗じると0.84µg/日となり、丸め処理を行って0.8µg/日としました。

・乳児(目安量)

日本人の母乳中のビタミンB12濃度として、0.45µg/Lが採用されました。0〜5か月の乳児の目安量は、母乳中の濃度(0.45µg/L)に基準哺乳量(0.78 L/日)を乗じると0.35µg/日となるため、丸め処理をして、0.4µg/日とされています。6〜11か月児の目安量は、二つの方法による外挿値の平均値としました。具体的には、0〜5か月児の目安量及び18〜29 歳の推定平均必要量それぞれから6〜11か月児の目安量算定の基準となる値を算出。次に、男女ごとに求めた値を平均し、男女同一の値とした後、丸め処理をしました。その結果得られた0.5µg/日が男女共通の目安量とされました。

参照・・厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書

 

【ビタミンB12を多く含む食材】

・牡蠣
・しじみ
・赤貝
・ほたて
・ぶり
・鯖
・ほっけ
・牛レバー
・鳥レバー
・ほし海苔     など

【ビタミンB12を多く含む食材ランキング:野菜・動物性食品外編】

野菜・果物類にはビタミン12は含まれていません。
血液や神経系の健康を保つために、不足しないよう気を付けてください。
ベジタリアンの方はビタミンB12が不足する可能性があるので注意しましょう。

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