【ビタミンB1とは】
ビタミンB1は水溶性ビタミンの1種です。ビタミンB1は、グルコース代謝と分枝アミノ酸代謝などに関与しています。神経系や脳組織の正常な働きを助ける・糖質をエネルギーに変える成分とされています。かつて日本で流行した“脚気”と言われる病はこのビタミンB1が不足してしまったために起こる病とされています。ビタミンB1は、摂取量が増えていくと肝臓内の量が飽和し、同時に血中内の量が飽和します。こうなって初めて尿中に飽和したビタミンB1が放出されます。飽和量を超えると自動的に尿中に排出されることからこの飽和量がビタミンB1の摂取必要量とされています。過去にビタミンB1を過剰摂取した際の研究報告がされていますが、頭痛、苛立ち、不眠などの症状があったものの2日ほどで回復したとのことです。可食部100 g当たりのビタミンB1含量が1mgを超える食品は存在しないため、通常の食品では、ほぼビタミンB1を過剰摂取してしまうことはないと言われています。
【ビタミンB1が不足すると】
ビタミンB1欠乏により、神経炎や脳組織への障害が生じます。欠乏症は、脚気とウェルニッケ─コルサコフ症候群があると言われています。ビタミンB1を完全に除去した食事が2週間以上続くと脚気の症状が起こる場合があると報告されています。
【摂取量目安】
・成人・小児(推定平均必要量、推奨量)
ビタミンB1の必要量をビタミンB1摂取量と尿中のビタミンB1排泄量との関係式における変曲点から求める方法を採用しています。具体的には18か国から報告された類似のデータをまとめた結果から、その値をチアミンとして0.35mg/1,000kcalと算定しています。チアミン塩化物塩酸塩量としては0.45mg/1,000kcalとなります。この値を1〜64歳の推定平均必要量を算定するための参照値とし、対象年齢区分の推定エネルギー必要量を乗じて推定平均必要量を算定しました。推奨量は、推定平均必要量に推奨量算定係数 1.2 を乗じた値としています。
・高齢者(推定平均必要量、推奨量)
65歳以上の必要量の算定に当たり、特別の配慮が必要であるというデータはないことから、成人(18〜64歳)と同様に、チアミン塩化物塩酸塩としては0.45mg/1,000kcalを推定平均必要量算定の参照値とし、対象年齢区分の推定エネルギー必要量を乗じて推定平均必要量を算定しました。推奨量は、推定平均必要量に推奨量算定係数1.2を乗じた値としました。
・妊婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
妊婦の付加量を要因加算法で算定するデータはないため、ビタミン B1 がエネルギー要求量に応じて増大するという代謝特性から算定しました。すなわち、妊娠によるエネルギー付加量(身体活動レベルIIの初期の+50kcal/日、中期の+250kcal/日、後期の+450kcal/日)に推定平均必要量算定の参照値0.45mg/1,000kcalを乗じると、初期は0.023mg/日、中期は0.113mg/日、後期は 0.203 mg/日と算定されます。これらの算定値はあくまでも妊婦のエネルギー要求量の増大に基づいた数値で、妊娠期は個々人によりエネルギー要求量が著しく異なります。妊娠期は特に代謝が亢進される時期であることから、妊娠後期で算定された値を丸めた0.2mg/日を、妊娠期を通じたビタミンB1の推定平均必要量の付加量としました。推奨量の付加量は、推定平均必要量の付加量に推奨量算定係数 1.2 を乗じると0.244mg/日(0.203mg/日×1.2=0.244)となりますが、丸め処理を行って0.2mg/日としました。
・授乳婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
授乳婦の推定平均必要量の付加量は、母乳中のビタミンB1濃度(0.13mg/L)に泌乳量
(0.78 L/日)を乗じ、相対生体利用率60%を考慮して算出(0.13mg/L×0.78L/日÷0.6)すると、0.169mg/日となり、丸め処理を行って0.2mg/日としました。推奨量の付加量は、推定平均必要量の付加量に推奨量算定係数1.2を乗じると0.203mg/日(0.169mg/日×1.2=0.203)となり、丸め処理を行って0.2mg/日とました。
参照・・厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書
【ビタミンB1を多く含む食材】
・はい芽
・豆類(大豆・落花生など)
・ごま
・ドリアン
・うなぎ
・たらこ
・レバー
・ソバ
・牡蠣 など
【ビタミンB1を多く含む食材ランキング:野菜・動物性食品外編】※100gあたり
きくのその他成分:たんぱく質11.6g、ナトリウム14mg、カリウム2500mg、カルシウム160mg、マグネシウム140mg、リン250mg、鉄11.0mg、亜鉛2.2mg、マンガン1.34mg、ビタミンE26.2mg、ナイアシン3.8mg、ビタミンK62㎍、葉酸370㎍、パントテン酸1.50mg、ビタミンC10mg、水溶性食物繊維8.2g、不溶性食物繊維21.6g
2位:落花生(未熟豆 生)0.54mg
落花生のその他成分:アミノ酸組成によるたんぱく質11.2g、ナトリウム1mg、カリウム450mg、カルシウム15mg、マグネシウム100mg、リン200mg、鉄0.9mg、亜鉛1.2mg、マンガン0.75mg、セレン1㎍、ビタミンE10.5mg、ナイアシン10.0mg、葉酸150㎍、パントテン酸1.40mg、ビタミンC20mg、水溶性食物繊維0.1g、不溶性食物繊維3.9g
3位:とうがらし(果実 乾)0.50mg
とうがらしのその他成分:アミノ酸組成によるたんぱく質10.8g、カリウム2800mg、カルシウム74mg、マグネシウム190mg、リン260mg、鉄6.8mg、亜鉛1.5mg、ビタミンB2 1.40mg、ナイアシン14mg、ビタミンB6 3.81mg、パントテン酸3.61mg、水溶性食物繊維5.4g、不溶性食物繊維41.0g
4位:かぶ 漬物 ぬかみそ漬(根 皮むき)0.45mg
かぶのその他成分:アミノ酸組成によるたんぱく質0.7g、ナトリウム1700mg、カリウム400mg、カルシウム33mg、マグネシウム14mg、リン38mg、鉄0.3mg、亜鉛0.2mg、ビタミンE0mg、ナイアシン0.1mg、葉酸58㎍、パントテン酸0.25mg、ビタミンC21mg、水溶性食物繊維0.4g、不溶性食物繊維1.6
5位:グリンピース(生)0.39mg
グリンピースのその他成分:アミノ酸組成によるたんぱく質4.9g、ナトリウム1mg、カリウム340mg、カルシウム23mg、マグネシウム37mg、リン120mg、鉄1.7mg、亜鉛1.2mg、セレン1㎍、モリブデン65㎍、ビタミンA35㎍、ビタミンE2.7mg、ナイアシン2.7mg、葉酸76㎍、パントテン酸0.63mg、ビタミンC19mg、水溶性食物繊維0.6g、不溶性食物繊維7.7g
6位:ドリアン(生)0.33mg
ドリアンのその他成分:たんぱく質2.3gカリウム510mg、カルシウム5mg、マグネシウム27mg、リン27mg、鉄0.3mg、亜鉛0.3mg、マンガン0.31mg、セレン1㎍、モリブデン10㎍、ビタミンA3㎍、ビタミンE2.4mg、ナイアシン1.4mg、葉酸150㎍、ビオチン5.9㎍、パントテン酸0.22mg、ビタミンC31mg、水溶性食物繊維0.7g、不溶性食物繊維2.1g
7位:えだまめ(生)0.31mg
えだまめのその他成分:アミノ酸組成によるたんぱく質10.0g、カリウム590mg、カルシウム58mg、マグネシウム62mg、リン170mg、鉄2.7mg、亜鉛1.4mg、マンガン0.71mg、セレン1㎍、クロム1㎍、モリブデン240㎍、ビタミンA22㎍、ビタミンE9.9mg、ビタミンK30㎍、ナイアシン1.6mg、葉酸320㎍、ビオチン11.1㎍、パントテン酸0.53mg、ビタミンC27mg、水溶性食物繊維0.4g、不溶性食物繊維4.6g
8位:そらまめ(未熟豆 生)0.30mg
そらまめのその他成分:アミノ酸組成によるたんぱく質8.1g、カリウム440mg、カルシウム22mg、マグネシウム36mg、リン220mg、鉄2.3mg、亜鉛1.4mg、マンガン0.21mg、クロム0㎍、モリブデン150㎍、ビタミンA20㎍、ビタミンE1.3mg、ビタミンK18㎍、ナイアシン1.5mg、葉酸120㎍、ビオチン6.9㎍、パントテン酸0.46mg、ビタミンC23mg、水溶性食物繊維0.2g、不溶性食物繊維2.4g
9位:きゅうり(漬物 ぬかみそ漬)0.26mg
きゅうりのその他成分:たんぱく質1.5g、カリウム610mg、カルシウム22mg、マグネシウム48mg、リン88mg、鉄0.3mg、亜鉛0.2mg、銅0.11mg、マンガン0.14mg、ヨウ素1㎍、セレン1㎍、クロム1㎍、モリブデン7㎍、ビタミンA18㎍、ビタミンE0.2mg、ビタミンK110㎍、ナイアシン1.6mg、葉酸22㎍、ビオチン1.2㎍、パントテン酸0.93mg、ビタミンC22mg、水溶性食物繊維0.4g、不溶性食物繊維1.1g
10位:トウミョウ(茎葉 生)0.24mg
トウミョウのその他成分:たんぱく質3.8g、カリウム350mg、カルシウム34mg、マグネシウム22mg、リン61mg、鉄1.0mg、亜鉛0.4mg、銅0.08mg、マンガン1.11mg、ビタミンA340㎍、ビタミンE3.5mg、ビタミンK280㎍、ビタミンB2 0/27mg、ナイアシン1.1mg、葉酸91㎍、パントテン酸0.80mg、ビタミンC79mg、水溶性食物繊維0.2g、不溶性食物繊維3.1g