本当の健康法の考え
病院に来られる患者さんの中に安易な民間療法(健康法)に頼り切ってしまっている方が増えています。どうもここ数年の間に起こってきている現象のようです。いわゆる「健康ブーム」が発端ではないでしょうか。
一昔前に比べて日常生活の中で、書籍やテレビ番組から健康法に関してたくさんの知識を得ることが容易になっていますよね。例えば新聞のテレビ欄を見ても「~は健康によい。」「私は~を食べてこの病気を克服した。」「ボケない食事」「これを食べて癌を予防しよう。」といったたぐいの番組を簡単に見つけることができます。
その健康ブームの「申し子」ともいうべき方々が確実に外来患者さんの中に増えてきているのも現状です。(「グルメブーム」の後に「健康ブーム」の到来です。)
健康から遠ざかることも。。。
こんな話があります。一時期『ココアが大変身体によい。』という健康法が世間に流れて、ほんのちょっとの間ではありましたがスーパーマーケットの店頭からココアが姿を消したことがあります。
そして時を同じくして病院の糖尿病の治療をしていたある中年の女性の血糖値が急上昇したのであります。おかしいなと思ってよくよく彼女に事情を聞くと、最近健康のためにココアを愛飲するようになったとのこと。
今度はその患者さんの、血糖ならぬ血圧が急上昇していました。それまでその方の血糖値は安定されていたそうです。
健康になりたいという気持ちからとはいえ、医者に何の相談もなく独断で始めた健康法が見事に血糖を高くしてしまったのです。これでは何のための健康法なのかが、わかりません。
きちんとした健康法をすること
その1、自分自身のお身体の弱点を分析する事
身体の弱点を補強するための「健康法」ならば理にかなっています。採血でコレステロール値の正常な人が一生懸命になってコレステロールを下げるための食事をとる必要はないでしょう。
漠然と「健康になりたい」ということではなくて、『弱点補強の目的意識をもって行なう』健康法ならは理解できます。要は手さぐり的な健康法ではダメだということです。
だから健康のための手段とはいえ、実施前には一応かかりつけの医者に相談してみてください。
その2、正しい健康法を継続させること
このことはとても大切です。逆に言いますと、いくら正しいやり方だとしても継続できそうもない健康法では全く役に立ちません。
健康法は「ブーム」ではお身体にはよくないのです。一時的に流行(はや)るだけのような健康法は「イカサマ」とまでは言わないけれど信用できないことが意外にあるそうなんです。簡単なことでもキチンと続けられる無理のない健康法をお勧めしたいものです。
その3、体調に応じて路線が変更できる「柔軟な健康法」
かたくなに信じこんで修正のきかない健康法は時に身体を壊すことがあるのだと知っておいてください。ちょっと昔のことですが、病院の外来を受診されたある患者さんがこんなことをおっしゃってました。
『そもそも生きていることが一番健康に悪いんだから、窮屈(きゅうくつ)な考えでいくより、ゆったりとした気持ちで病気の治療に取り組みたいもんだねえ。』と。名言!!を言われていたみたいです。
まとめ
有名なお昼のテレビ番組が今までに紹介した健康法をすべて数えあげると全部で2万弱もあるそうなんです。あなたは「健康に良いから」といって一日に2万弱の健康法を同時に実践できますか?
逆に健康を損ないそうですよね。「健康とは何ぞや?」という問題に頭を抱える日々がまだまだ続きそうです。
しかし、難病をかかえつつも大らかに前向きな気持ちで生きておられる方こそ真に健康と言えるのかも知れません。
必ず人それぞれの健康方がきっとあるはずです。ご自分のお身体に合ったものを継続されてみてください。