ビタミンB6:免疫系の維持にとても大事な成分

【ビタミンB6とは】

ビタミンB6は水溶性ビタミンの1種です。ビタミンB6は、免疫系の維持にもとても重要な成分と言われています。大腸がんの予防因子であることも報告されています。研究ではビタミンB6の摂取量が少ない人より、多く摂った方が大腸がんのリスクが30~40%低かったとされています。ビタミンB6を構成する数種の物質のうちPN(ピリドキシン)を大量摂取すると感覚性ニューロパシーという健康障害が現れると言われています。この実験でPN(ピリドキシン)を1日100~300mgを摂取したところ感覚神経障害は認められなかった為、健康障害非発現量は300mg/日に設定されました。通常の食品で、可食部100g当たりのビタミンB6含有量が1mgを超える食品は存在しない為、通常の食品を摂取していれば過剰摂取による健康被害は起こらないとされています。

【ビタミンB6が欠乏すると】

ビタミンB6が欠乏するとペラグラ様症候群、脂漏性皮膚炎、舌炎、口角症、リンパ球減少症が起こり、成人では、うつ状態、錯乱、脳波異常、痙攣発作が起こると言われています。

【摂取量目安】

・成人・小児(推定平均必要量、推奨量)

ビタミンB6は、アミノ酸の異化やアミノ酸系神経伝達物質である生理活性アミンの代謝に関わっています。血漿中に存在するPLPは、体内組織のビタミンB6貯蔵量をよく反映します。血漿中のPLP濃度が低下した若年女性において、脳波パターンに異常が見られたという報告があります。未だ明確なデータは得られていませんが、神経障害の発生などのビタミンB6欠乏に起因する障害が観察された報告を基に判断すると、血漿PLP濃度を30nmol/Lに維持することができれば、これらの障害は観察されなくなります。そこで、血漿PLP濃度を30nmol/Lに維持できるビタミンB6摂取量が推定平均必要量とされることとされました。一方、ビタミンB6の必要量は、たんぱく質摂取量が増加すると増し、血漿PLP濃度は、たんぱく質当たりのビタミンB6摂取量とよく相関します。血漿PLP濃度を30nmol/Lに維持できるビタミンB6量はピリドキシン摂取量として0.014mg/gたんぱく質で、相対生体利用率 73%で除して1~69歳の推定平均必要量算定の参照値(0.014/0.73)とされました。この値に、対象年齢区分のたんぱく質の食事摂取基準の推奨量を乗じて、推定平均必要量が算定されました。推奨量は、推定平均必要量に推奨量算定係数1.2を乗じた値とされています。高齢者については、血漿PLPが年齢の進行に伴って減少するという報告はありますが、現時点では不明な点が多いため、成人と同様の方法で算定されています。

・妊婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)

成人(非妊娠時)でのPNの推定平均必要量算定の参照値(1gたんぱく質当たり0.014mg)と妊娠期のたんぱく質の蓄積量を基に算定し、これに相対生体利用効率を考慮した値とされています。妊娠期においては、多くの栄養素の栄養効率が高くなりますが、ビタミンB6に関するデータは見当たらないので、妊娠期においても食事性ビタミンB6のPNに対する相対生体利用効率は73%とされています。したがって、妊娠期のビタミンB6の推定平均必要量の付加量は、初期は0mg、中期は0.037mg、後期は0.156mgと算定されます。しかし、これらの算定値はあくまでも妊婦のたんぱく質要求量の増大に基づいた数値であって、妊娠期は個々人によるたんぱく質要求量が著しく異なります。妊娠期は特に代謝が亢進される時期であることから、妊娠後期で算定された値を、妊娠期を通じた必要量としました。以上により、妊婦のビタミンB6の推定平均必要量の付加量は、妊娠後期のたんぱく質要求量の増大から算定された0.156mg/日を丸め処理した0.2mg/日とされました。推奨量の付加量は、推定平均必要量に推奨量算定係数1.2を乗じると0.187mg/日となり、丸め処理を行って 0.2mg/日としました。

・授乳婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)

授乳婦の推定平均必要量の付加量は、母乳中のビタミンB6濃度(0.25mg/L)に泌乳量(0.78L/日)を乗じ、相対生体利用率(73%)を考慮して算出(0.25mg/L×0.78L/日÷0.73)すると0.267mg/日となり、丸め処理を行って0.3mg/日とされました。推奨量の付加量は、推定平均必要量の付加量に推奨量算定係数1.2を乗じると0.32mg/日となり、丸め処理を行って0.3mg/日とされています。

・乳児(目安量)

0〜5か月の乳児の目安量は、母乳中の濃度(0.25mg/L)に基準哺乳量(0.78L/日)を乗じると0.195mg/日となるため、丸め処理をして、0.2mg/日とされました。6〜11か月児の目安量は、二つの方法による外挿値の平均値とされています。具体的には、0〜5か月児の目安量及び 18〜29歳の推定平均必要量それぞれから6〜11か月児の目安量算定の基準となる値を算出しました。次に、男女ごとに求めた値を平均し、男女同一の値とした後、丸め処理を行って0.3mg/日を男女共通の目安量としました。

参照・・厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書

【ビタミンB6を多く含む食材】

・カツオ
・マグロ
・鮭
・鯖
・牛レバー
・鳥レバー
・しじみ
・あさり
・ほし海苔
・味付け海苔     など

【ビタミンB6を多く含む食材ランキング:野菜・動物性食品外編】※100gあたり

1位:とうがらし(果実 乾) 3.81mg
とうがらしのその他成分:アミノ酸組成によるたんぱく質10.8g、カリウム2800mg、カルシウム74mg、マグネシウム190mg、リン260mg、鉄6.8mg、亜鉛1.5mg、ビタミンB2 1.40mg、ナイアシン14mg、ビタミンB6 3.81mg、パントテン酸3.61mg、水溶性食物繊維5.4g、不溶性食物繊維41.0g

2位:にんにく(りん茎 油炒め) 1.80mg
にんにくのその他成分:アミノ酸組成によるたんぱく質5.0g、ナトリウム16mg、カリウム610mg、カルシウム18mg、マグネシウム29mg、リン200mg、鉄1.2mg、亜鉛1.0mg、銅0.21mg、マンガン0.36mg、ビタミンE3.0mg、ビタミンK3㎍、ナイアシン0.8mg、葉酸120㎍、パントテン酸0.68mg、ビタミンC10mg、水溶性食物繊維4.5g、不溶性食物繊維2.3g

3位:かぶ(塩漬 葉) 1.10mg
かぶのその他成分:アミノ酸組成によるたんぱく質2.0g、ナトリウム910mg、カリウム290mg、カルシウム240mg、マグネシウム32mg、リン46mg、鉄2.6mg、亜鉛0.3mg、銅0.06mg、マンガン0.33mg、ビタミンA100㎍、ビタミンE3.1mg、ビタミンK360㎍、ナイアシン1.0mg、葉酸78㎍、パントテン酸0.49mg、ビタミンC44mg、水溶性食物繊維0.8g、不溶性食物繊維2.8g

4位:バナナ(乾) 1.04mg
バナナのその他成分:アミノ酸組成によるたんぱく質2.4g、ナトリウム1mg、カリウム1300mg、カルシウム26mg、マグネシウム92mg、リン84mg、鉄1.1mg、亜鉛0.6mg、銅0.25mg、マンガン1.31mg、ビタミンA70㎍、ビタミンE1.4mg、ビタミンK0㎍、ビタミンB1 0.07mg、ビタミンB2 0.12mg、ナイアシン1.4mg、葉酸34㎍、パントテン酸1.13mg、ビタミンC0mg、水溶性食物繊維2.0g、不溶性食物繊維5.0g

5位:きく 菊のり 0.69mg
きくのその他成分:たんぱく質11.6g、ナトリウム14mg、カリウム2500mg、カルシウム160mg、マグネシウム140mg、リン250mg、鉄11.0mg、亜鉛2.2mg、マンガン1.34mg、ビタミンE26.2mg、ナイアシン3.8mg、ビタミンK62㎍、葉酸370㎍、パントテン酸1.50mg、ビタミンC10mg、水溶性食物繊維8.2g、不溶性食物繊維21.6g

6位:トマピー(果実 生) 0.56mg
トマピーのその他成分:たんぱく質1.0g、ナトリウム0mg、カリウム210mg、カルシウム8mg、マグネシウム8mg、リン29mg、鉄0.4mg、亜鉛0.3mg、銅0.07mg、マンガン0.12mg、ビタミンA160㎍、ビタミンE4.5mg、ビタミンK4㎍、ビタミンB1 0.05mg、ビタミンB2 0.09mg、ナイアシン1.2mg、葉酸45㎍、パントテン酸0.33mg、ビタミンC200mg、水溶性食物繊維0.6g、不溶性食物繊維1.0g

7位:しいたけ(干 乾) 0.45mg
しいたけのその他成分:アミノ酸組成によるたんぱく質12.5g、ナトリウム6mg、カリウム2100mg、カルシウム10mg、マグネシウム110mg、リン310mg、鉄1.7mg、亜鉛2.3mg、銅0.50mg、マンガン0.87mg、ヨウ素4㎍、セレン4㎍、クロム5㎍、モリブデン3㎍、ビタミンA0㎍、ビタミンD12.7㎍、ビタミンE0mg、ビタミンK0㎍、ビタミンB1 0.50mg、ビタミンB2 1.40mg、ナイアシン16.8mg、葉酸240㎍、パントテン酸7.93mg、ビオチン36.6㎍、ビタミンC0mg、水溶性食物繊維3.0g、不溶性食物繊維38.0g

8位:ししとう(果実 油炒め) 0.40mg
ししとうのその他成分:アミノ酸組成によるたんぱく質1.3g、ナトリウム0mg、カリウム380mg、カルシウム15mg、マグネシウム21mg、リン39mg、鉄0.6mg、亜鉛0.3mg、銅0.10mg、マンガン0.18mg、ヨウ素0㎍、セレン4㎍、クロム1㎍、モリブデン4㎍、ビタミンA45㎍、ビタミンD0㎍、ビタミンE1.3mg、ビタミンK52㎍、ビタミンB1 0.07mg、ビタミンB2 0.07mg、ナイアシン1.5mg、葉酸34㎍、パントテン酸0.36mg、ビオチン3.7㎍、ビタミンC49mg、水溶性食物繊維0.3g、不溶性食物繊維3.3g

9位:赤ピーマン(果実 油炒め) 0.39mg
赤ピーマンのその他成分:アミノ酸組成によるたんぱく質0.8g、ナトリウム0mg、カリウム220mg、カルシウム7mg、マグネシウム10mg、リン24mg、鉄0.7mg、亜鉛0.2mg、銅0.03mg、マンガン0.14mg、ビタミンA92㎍、ビタミンD0㎍、ビタミンE4.8mg、ビタミンK7㎍、ビタミンB1 0.06mg、ビタミンB2 0.16mg、ナイアシン1.2mg、葉酸71㎍、パントテン酸0.29mg、ビタミンC180mg、水溶性食物繊維0.5g、不溶性食物繊維1.1g

10位:わさび(わさび漬) 0.38mg
わさびのその他成分:たんぱく質7.1g、ナトリウム1000mg、カリウム140mg、カルシウム40mg、マグネシウム16mg、リン72mg、鉄0.9mg、亜鉛1.1mg、銅0.15mg、マンガン0.38mg、ビタミンA2㎍、ビタミンD0㎍、ビタミンE0.1mg、ビタミンK9㎍、ビタミンB1 0.08mg、ビタミンB2 0.17mg、ナイアシン0.6mg、葉酸45㎍、パントテン酸0.25mg、ビタミンC1mg、水溶性食物繊維1.0g、不溶性食物繊維1.7g

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